マンション管理組合が抱える裁判の判例をご紹介します。
この判例では、マンションの屋上に携帯電話の基地局を設置する際には、総会の普通決議で足りるとしたものです。
電気通信会社がマンションの居住者に対して、賃借権の確認および設置工事の妨害禁止を求めて訴えを提起したもので、携帯電話の基地局等を設置するために、マンション管理組合との間でマンション屋上の一部を10年間賃借する契約を締結しましたが、マンションの居住者から設置工事を妨害されたことが発端になっています。
この裁判の判例で問題になったのは、共用部分である屋上の一部を賃借して何かの設置工事を行う際に必要な要件は何か、ということです。
第一審では、賃貸借期間が民法602条の期間(3年)を超える賃貸借については、共有者(区分所有者)の全員一致が必要であるとして賃借権の存在等を認めませんでしたが、控訴審では、マンション管理組合総会の普通決議を経ればよいとして、第一審を取消し、賃借権の存在等を認めたものになりました。(札幌高裁平成21年2月27日判決、『判例タイムズ』1304号)
近年、アンテナ基地局をめぐるざまざまな裁判の判例が出ていてマンション管理組合の方々を悩ませていますが、今後も裁判は増えそうな様相です。